夢の軌道

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東上線の高坂駅から、清澄というゴルフ場へ向かって廃線跡が延びている。かつて粘土などを採取したものを運んだらしい。関越道の高坂サービスエリア付近で、架線柱の並んだ廃橋が架かっていることで比較的知られているが、現役時代が短くネットで得られる情報も限られている。

長大な築堤など、遠目にはよく眺めていた。

ある晩、この廃線跡を歩いている自分を夢に見た。その中で、コンクリートの短い洞門が印象に残って、目覚めた後も、そんな施設が残っているのかなあ、と朧気に記憶に止まっていた。

ついこの間、そういえば、とPCで検索してみたところ、ヒットした探索リポートの中に、夢に出てきたような洞門が目に留まった。

もしかしたら何気なく見ていた映像が夢に反映されたのかもしれない。しかし現実感が極めて希薄であるが故に、この目で確かめたくなった。

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風のまだ冷たい日だったが、よく晴れていた。ゴルフ場の管理棟に通じる道に車を停めて、踏切の標識の土台の残る所から廃線跡に入った。

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よく手入れされていて、また固くしまった路盤は歩きやすい。

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古めかしいガーター橋を渡り、眼下に田園の広がりを眺めながら「夢の風景」を目指した。

沿線には倒された架線柱が鉄筋を晒して横たわっている。

春の近さを感じさせる明るい光に満ちているが、冷たい風が首から体温を奪う。
雄大な築堤が緩やかにカーブしている。
やはりどこか現実感が希薄だ。

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築堤の先の方には、かつての砂利採取のプラントが、比較的規模の大きな工業団地に造成されているのが望まれる。途中駅のあったらしい場所だ。

下の方の民家の庭で燃やしているゴミの煙を抜けて、築堤が藪に挟まれているところに突入しながらカーブを辿っていくと、下から急坂で登ってくる砂利道の踏切跡の柵があって、その先に「それ」はあった。

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新しいように見えるほど白く輝いていた。夢と目の前の光景をだぶらせながら近づいていくと、確かに、夢で観たように洞門内に架線柱などの資材が積置かれたりしていた。やはり、前に着たことがあるようだ。

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洞門の先は路盤が土砂で覆われていて、ぽっかりと空が見えた。

その向こうは、造成の工事現場が全く異様に広がっていた。

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